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菊地 弘美さん
国見町出身。国見町教育委員会・教育長。役場職員としてまちづくりや福祉に関する仕事に携わり、2021年に教育長に就任した。
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菊地 弘美さん
国見町出身。国見町教育委員会・教育長。役場職員としてまちづくりや福祉に関する仕事に携わり、2021年に教育長に就任した。
2021年、国見町は幼稚園と小中学校の給食費の無償化を実施。その背景には子どもたちに、生きていく上で欠かせない「食」の知識を育んでほしいという想いがあった。
「食を学び、食を伝える」を基本理念とし、町は2017年に食育計画を策定。それをきっかけに町はさまざまな取り組みを行ってきた。
「取り組みの一つとして、家で受け継がれてきた家庭料理をまとめた 『国見町食卓図鑑』に掲載されているメニューを、給食の献立に月に一度盛り込んでいます。中には、自分が住んでいる地区では食べているけど、隣の地区では食べられていない料理があったりするんです。献立表には「〜地区〜さんのおかずです」などと記載されており、給食を通して、子どもたちは町の食文化を学ぶことができています」
「家で食に関して話す機会が増えたという保護者さんがだんだんと増えているんです」と嬉しそうに語る菊地教育長。詳しく聞くと、幼稚園と小中学校の給食費が無償化されたことが家庭内での食育にも影響を与えており、さらに給食をつくる側の人にとっても変化の輪は広がっているようだ。
「給食センター内で料理教室を開催したりと、新たな取り組みがはじまっています。その背景にはスタッフの方たちのなかで、『給食を単なる食材としてではなく、教材として捉えよう』という意識の変化があったようです」
また、幼稚園の食育教室では、地域の方も講師として参加しているという。
こういった取り組みが町民やスタッフ主体で自然と生まれているのは、地域のなかに「子育ては地域のみんなでするもの」という考えが根付いている証拠だ。
国見町には高校がない。そのため中学校を卒業すると多くの生徒が町を離れ、地元との関係性が薄れてしまう傾向にある。そんななか、菊地教育長は「食育」は子どもたちと町との関係性を深め、町への愛着を育むことができると話す。
「田植えやお祭りなど、子どものころに地域と関わることはとても大切です。なぜなら、体験で得た思い出がいつかは「地域に育てられた」という町への愛着に変わるから。そういった体験のなかには給食の時間など、食も含まれると私は考えています。ですから引き続き、地域や学校と連携しながら、さまざまな形で食の体験を子どもたちに提供していきたいです。その結果、町への愛着が生まれ、大人になってからも国見町っていいところだなと思ってもらえたら嬉しいですね」
「食を学ぶ」と聞くと、机に座り学ぶことだけをイメージしてしまうが、国見町では広義的に捉え、座学だけでなく体験の提供にも力を入れている。そんな国見町の「食育」は町の未来をつくっていく柱の一つになるだろう。
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