お話ししてくれた方
黒田 壌さん
国見町出身。大学卒業後、祖父の代から続く「くろだ果樹園」を継ぎ、りんごと桃の栽培を行う。趣味はウィンタースポーツ。
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黒田 壌さん
国見町出身。大学卒業後、祖父の代から続く「くろだ果樹園」を継ぎ、りんごと桃の栽培を行う。趣味はウィンタースポーツ。
街なかの住宅街を抜けて山のほうに少し車を走らせると、景色が変わってまわりにはりんご畑が広がっている。国見といえば桃のイメージが強いかもしれないけど、実は国見町では桃より先に、りんご栽培が盛んに行われた時代があった。
「このあたりの地域は、もともと養蚕農家が多かったんですよ。時代が変わって養蚕業が縮小し、蚕を育てるための桑畑が手にあまるようになって、別の作物を育てるようになりました。そこで植えられたのが、りんごだったんです。うちも、果樹園を始めるまでは養蚕業をやっていたんですよ」
そう話すのは、「くろだ果樹園」の3代目を継ぐ黒田壌さん。子どもの頃からりんご栽培を手伝い、大学を卒業してから本格的に農業を始めた。
くろだ果樹園で育てているりんごは、人気の「サンふじ」や、福島生まれの新品種「べにこはく」など、全部で13種類。果実を割ると、中にたっぷり蜜が入っているのが、くろだ果樹園が手がけるりんごの特長だ。そのヒミツは、育て方にある。一般的には、秋になると葉を摘んで土の上にシートをかぶせることで、りんごの色づきを良くするような栽培方法が主流だが、くろだ果樹園では葉が黄色くなって落ちるまで、葉も果実も摘み取ることはしない。それによって果実の色ムラは生じるものの、葉の養分が果実にたっぷり行き渡り、甘みと栄養がぐんと増す。
「おいしいりんごを栽培するために、いろんな方法を試したんですが、葉を摘み取らないで収穫したりんごはおいしさがまるで違うんです」
栽培のこだわりは、土づくりにも。薬剤の使用を減らし、有機質の資材を用いることで自然への負荷をおさえた循環型の農業を行っている。例えば、お米の籾殻を炭にしたものや、竹をチップ状にしたものを土に混ぜ込むことで、土壌づくりに役立てたり。そうした背景から、福島県が取り組む「エコファーマー」の認定を受けている。
くろだ果樹園のりんごを、季節問わず、より気軽に味わうならジュースがおすすめ。「サンふじ・王林・紅玉・シナノゴールド・はるか」の5種類があり、味わいの違いを飲みくらべてみるのも楽しい。
濃厚な甘みが引き立つりんご、さっぱりした飽きのこないりんご、ちょっと大人っぽい深みあるりんごなど、「同じりんごなのに、こんなにも味わいが違うなんて!」と子どもも大人も驚きがあるはず。
「廃棄してしまうりんごをどうにか活かせないかと考えて、ジュースに加工してみました。パッケージのイラストは、りんごをキャラクター化して従姉妹に描いてもらっているんです。保存料を使わずに瓶詰めしているので、りんごそのままのおいしさを楽しんでもらえると思います」
黒田さんは今後、栽培するりんごの品種を30種に増やしたいんだとか。りんごづくりに懸ける黒田さんの想いを聞いていると、りんご愛にあふれているのを感じる。10月から12月にかけて、りんごは収穫シーズンを迎える。黄色く染まった葉と、かわいらしいりんごが実るりんご畑の風景を思い浮かべながら、国見のあまいしあわせを味わって。
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